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治療室un-do(アンドゥー)
西武新宿線野方駅より徒歩2分。賑やかな商店街の中にあるカイロプラクティックと鍼灸をベースにしている治療室です。       TEL/03-3310-8586
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治療室un-do(アンドゥー)ブログ

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存在意義
先日、 第144回芥川賞を受賞した西村賢太氏の「苦役列車」を読みました。皆さんもすでにご存知だと思いますが、まず氏のアウトローな経歴というか、生い立ちに驚きました。
『1967年7月、東京都江戸川区生まれ。11歳のとき父親が強盗強姦事件を起こして逮捕され、同時に両親が離婚し、夜逃げ同然で母親と3歳上の姉と母子家庭生活を送る。中学卒業後は進学せず実家を飛び出し、港湾荷役などの日雇い肉体労働をしつつも10代後半から私小説に傾倒する。
20代に入ると自身も私小説を書くようになるが、この間2度の暴行傷害事件を起こし、罰金刑を受ける。』
こういう経歴を持つ人間が一体どのような文章を書くのか。大半の人が興味津々であると思います。事実、私がJR高円寺駅北口にある書店に入り、今回の芥川・直木賞コーナーに立ち寄ると、他の受賞作品はうず高く積まれているにも拘わらず、西村氏の「苦役列車」だけが残り1冊しかなく、慌てて購入しました。その冒頭部分を一部載せます。
 「曩時(のうじ)北町貫多の一日は、目が覚めるとまず廊下の突き当たりにある、年百年中糞臭い共同後架へと立ってゆくことから始まるのだった。
 しかし、パンパンに朝勃ちした硬い竿に指で無理矢理角度をつけ、腰を引いて便器に大量の尿を放ったのちには、そのまま傍らの流し台で思いきりよく顔でも洗ってしまえばよいものを、彼はそこを素通りにして自室に戻ると、敷布団代わりのタオルケットの上に再び身を倒して腹這いとなる。
 そしてたて続けにハイライトをふかしつつ、さて今日は仕事にゆこうか、ゆくまいか、その朝もまたひとしきり、自らの胸と相談をするのであった。
 その貫多は十日ばかり前に十九歳となっていたが、未だ相も変わらず日雇いの港湾人足仕事で生計を立てていた。
 中学を出て以来、このときまで全く進歩もなく日当の五千五百円のみにすがって生きる、不様なその日暮らしの生活を経てていた。」
西村氏は受賞会見で、「貫多は自己投影したキャラだが、皆さんが自分よりも駄目なやつがいると思って読んでくれれば僕も存在意義が見出せる」とか、「受賞の電話連絡がある前にそろそろ風俗に行こうかなと準備していたが、行かずに待っててよかった」などと述べ爆笑を誘うなど、氏の人となりや経歴が芥川賞受賞との間にギャップを生み、多くの共感を得たのだと思います。通常なら恥ずかしかったり、都合が悪くてはばかることを赤裸々にさらけ出し、どんな人間であれ持つカッコ悪い部分をうまく代弁したのでしょう。
文章中にある言葉の中には、中世から近代に書かれた小説や候文(そうろうぶん)に出てくる難解であったり古風な言葉(例えば出だしの曩時〔昔は〜の意〕とか、2行目の後架〔トイレ〕など)も多く、勉強になりました。皆さんも、ぜひご一読下さい。
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TEL03−3310−8586
| - | 02:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |









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